L・マイトナーさんの歩みに影響した人物(3) ヘルマン・エミール・フィッシャーさん

前回の話:1907年、29才のリーゼ・マイトナーさんはベルリンでM・プランク先生の講義の聴講を認められる。並行してベルリンでの自分の研究場所探しを始める。

今回の話:ベルリンでの居場所探しの結果、オットー・ハーンさん(8月24日)という同年齢の化学者とベルリン大学構内で共同研究を行う話がまとまる。但し、ハーンさんのボスのエミール・フィッシャーさんは、女性の研究所の出入りを禁止。実験は研究所の地下の木工作業所で行うという条件がついた。しかし、二人の放射線の共同研究が成果を出すようになると、フィッシャー先生はマイトナーさんに研究所の出入りを認め、援助もするようになる。

フィッシャー先生のご専門は?
有機合成化学。グルコースなどの糖やカフェインなどのプリンを合成した。プリンという用語もフィッシャー先生の命名。プリンPurinは、ラテン語の純粋なpurumと尿酸uricumの合成語。

マイトナーさんとはどんな関係?
マイトナーさんにとってフィッシャー先生は、共同研究相手であるハーンさんの上司、しかも化学部長という偉い立場だったのでマイトナーさんは気を使ったことだろう。最初は研究所本体への立ち入りが禁止されるほどクールな扱いだった。しかし、マイトナーさんが成果を出すにつれ態度が軟化する。成果を出すことが分かれば、男と女の違いで差別する人ではなかった。結果、マイトナーさんにとって木工作業所時代は人との交流も活発で楽しく過ごせたようだ。

どんな人生?
フィッシャー先生の師匠にあたるフォン・バイヤー先生との出会いが専門の道を決めた。二人ともノーベル化学賞を取るのだから、なんというすごいレベルであろうか。不思議なことに受賞の順番が弟子、3年後に師匠だ。ここまではポジティブな話。次から悲しい話。マイトナーさんが木工作業所を出たのが1912年、それから2年後の1914年にWWIが始まる。3人息子の2人を戦争のために失う。WWI終戦の翌年、自殺。

ヘルマン・エミール・フィッシャー Hermann Emil Fischer 1852–1919
化学者。
1852年、ドイツのケルン生まれ。父は実業家。
教育
少年時代、家庭教師と学校の両方で学ぶ。
1871年(19才)父は息子を跡継ぎにしようと試みたもののビジネスの適性がないと判断。大学進学を認める。
1872年(20才)化学を学ぶためボン大学に入学。物理志望に替え、ストラスブール大学に転学。
1874年(22才)指導教員アドルフ・フォン・バイヤー先生の影響で化学を専門にする。ストラスブール大学で博士号を取得。
1874年(22才)同大学のアシスタント・インストラクターになる。
活動
1875年(23才)フォン・バイヤー先生がリービッヒ先生の後任としてミュンヘン大学に転任するので助手(有機化学)としてついていく。
1878年(26才)ミュンヘン大学のAssociate Professor 。
1879年(27才)ミュンヘン大学の助教授(分析化学)。
1881年(29才)エアランゲン大学の教授(化学)。
1882年(30才)プリンの研究に着手。
1884年(32才)プリン (purine) と命名。糖の研究を開始。
1885年(33才)ヴュルツブルク大学の教授(化学)。
1890年(38才)グリセリンからグルコースを合成するのに成功。
1892年(40才)ベルリン大学の教授(化学)、化学部長。19年まで。
1898年(46才)プリンの合成に成功。
1899年(47才)タンパク質の研究を行う。1908年まで。
1902年(50才)ノーベル化学賞を受賞。糖類およびプリン誘導体の合成。
1905年(53才)フォン・バイヤー先生がノーベル化学賞を受賞。有機染料およびヒドロ芳香族化合物の研究。
1907年(55才)マイトナーさんとオットー・ハーンさんとの共同研究開始を承認。但し、実験は地下の木工作業所、研究所には立入らない条件
1912年(60才)マイトナーさんとハーンさんの研究の成果を認め研究所の立ち入りを許す。カイザー・ヴィルヘルム研究所が開設されたのでマイトナーさんはそちらに移る。
1914年(62才)WWI。3人息子のうち一人は戦死、一人は訓練中に自殺。
1918年(66才)WWI終戦
1919年(67才)自殺。死去。

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https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/1902/fischer/biographical/