L・マイトナーさんと同時代の科学者(30) M・ポランニーさん

▼ポランニーさんは「暗黙知」という概念を我々にもたらしてくれた人物。医学と化学、2つの博士号を持つ。物理化学者かつ経済社会学者。
▼1920年からハーバーさん(9月13日)の招きでベルリンのカイザー・ヴィルヘルム研究所のメンバーになっている。マイトナーさんは同じ研究所で核物理部のリーダーをしていた。32年にはポランニーさんは同研究所の所長になるのだから、まさに同時代、同じ場所にいたわけだ。
▼ポランニーさんはナチスの迫害が始まる1933年にすぐイギリスに渡っている。一方、マイトナーさんがベルリンを離れるのは38年。5年もの差はナチスに対する危険の感じ方の違いだろうか。
▼ポランニーさんは第二次大戦でドイツでハイパーインフレが起きて失業者があふれた現象を見て経済に関心を持ち始める。その結果、何と専門を物理化学から経済学、社会学に転換する。これまで紹介してきた化学者たちと異なる生き方だ。70才を超えてから「暗黙知」という概念を生み出す。暗黙知とは言葉にできないけれども確かに人が持つ身体的な知のこと。ポランニーさんが物理化学一本の道を歩んでいたら、我々には暗黙知という概念がなかったかも知れない。ありがとうございます、ポランニー先生。

マイケル・ポランニー Michael Polanyi 1891-1976

1891年、ハンガリーのブダペスト生まれ。ユダヤ人。
教育
1908年(17才)ミンタ・ギムナジウムを首席で卒業。
1912年(21才)カールスルーエ大学のブレディッヒ教授の下で化学の研究。
1913年(22才)ブダペスト大学で博士(医学)。
1914年(23才)WWI。戦争中は入隊、医療将校としてセルビア前線に赴任。
1916年(25才)病気になったため戦線を離脱。
1917年(26才)吸着効果について研究。アインシュタインさんから研究を激励される。
1918年(27才)WWI終戦
1919年(28才)ブダペスト大学で博士(化学)。
活動
1920年(29才)ハーバーさんの招きでベルリンのカイザー・ヴィルヘルム研究所へ。
1921年(30才)ウィグナーさん(10月4日)の博士研究の指導教員。
1928年(37才)シラードさん(10月9日)、ウィグナーさん、ノイマンさんらとソ連問題研究会を作る。
1932年(41才)カイザー・ヴィルヘルム研究所所長。
1933年(42才)ナチスのユダヤ人迫害が始まる。英国に渡りマンチェスター大学の教授(物理化学)。ドイツで加速するインフレと失業を見て経済に関心を持ち始める。
1948年(57才)マンチェスター大学がポランニーさんのために社会科学の枠を設ける(58年まで)。
1939年(48才)WWII
1940年(49才)The Contempt of Freedom を発表。
1945年(54才)WWII終戦
1946年(55才)Science, Faith and Society を発表。
1948年(57才)Full Employment and Free Trade を発表。
1949年(58才)研究対象を社会科学にシフトチェンジ。
1951年(60才)The Logic of Liberty を発表。
1958年(67才)マンチェスター大学を引退。オックスフォード大学モートン校の senior research fellow。 Personal Knowledge を発表。
1966年(75才)The Tacit Dimension を発表。暗黙知を紹介。
1968年(77才)Life’s irreducible structure を発表。
1970年(79才)Transcendence and Self-transcendence を発表。
1976年(85才)死去。

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https://en.wikipedia.org/wiki/Michael_Polanyi