マックス・プランクさんの関係者(4)博士論文の指導を受けた弟子:M・ラウエさん

▼リーゼ・マイトナーさんの歩みをたどるとき、心温まる灯になるのは、今回のラウエさんとJ・フランクさんだ。
人柄も仲も良い3人組。
▼ラウエさんの年表は2020年9月17日のブログにあるので、そちらを参照して頂くとして、今回は師匠・弟子・関係筋を紹介する。
▼師匠について。2人いる。理由は、学位論文の指導教員と大学で講義する資格を取得するときの指導教員がいるから。1900年代のドイツでは博士号の取得と授業の資格がしっかり区分されていた。日本でも博士後期課程の学生の授業には学内審査があり資格が必要である。さらに上位資格は博士論文指導資格。(書いてみて気づいたけど、当時のドイツでは学位論文<講義、日本では講義<学位論文と順序が逆だ)
▼弟子について。日本語・英語ともWikipediaでは2人だった。実際はもっと多いはず。
▼関係筋について。生年順に並べた。オットー・ハーンさんが同じ年生まれ。ほとんどの人がWWIとWWIIを経験している。ヨーロッパ、イギリスの関係が中心。アメリカは少ない。ここからも、WWIIの前まで物理化学の先端研究はヨーロッパとイギリスが進んでいたことが伺える。アメリカがぐっと出てくるのはWWIIが始まってからになる。

マックス・フォン・ラウエ Max von Laue 1879-1960
▼師匠・弟子・関係筋
師匠
■ マックス・プランク Max Planck 1858-1947 関係:ベルリン大学で博士号取得の指導教員。3年間(1906-1909)、助手を務めた。

■ アルノルト・ゾンマーフェルト(12月17日) Arnold Sommerfeld 1868-1951 関係:ミュンヘン大学で大学教員資格の指導教員。3年間(1909-1912)、助手を務めた。

弟子
■ レオ・シラード(10月9日) Leo Szilard 1898–1964 ユダヤ系物理学者。関係:ベルリン大学で論文指導。
□ フリッツ・ロンドン Fritz London 1900-1954 ドイツの物理学者。関係:ベルリン大学で論文指導。論文の共同執筆も行った。

関係筋
■ ヴィルヘルム・レントゲン(9月1日) Wilhelm Röntgen 1845–1923 X線の発見者。関係:WWII終戦後、イングランドでラウエさんが抑留されていたとき、ヘンリー・デール氏から「思い出を講演してもらえないか」という打診があった。ミュンヘン大学時代、二人が同僚だったから。ちなみに、レントゲンさんはフィリップ・レーナルトさんからレーナルト管を貰って実験した。しかし論文に謝辞を書かなかったのでレーナルトさんが怒ったという話が残っている。ラウエさんはレーナルトさんとユダヤ人政策の考え方が正反対。

□ ヴォルデマール・フォークト Woldemar Voigt 1850-1919 結晶学、熱力学、光学。関係:ゴッティンゲン大学で授業を聞いて刺激を受けた。

■ ダフィット・ヒルベルト David Hilbert 1862-1943 現代数学の父。関係:ゴッティンゲン大学で授業を聞いて刺激を受けた。

■ フィリップ・レーナルト(12月14日) Philipp Lenard 1862–1947 「ドイツ物理学」の立場。関係:ユダヤ人政策で考え方が反対。

□ ヴァルター・ネルンスト Walther Nernst 1864–1941 関係:ベルリン大学の同僚。「リーゼ・マイトナーさんの甥、オットー・フリッシュさんの自伝に出てくる科学者シリーズ」の30回目でご登場いただく予定。

□ オットー・ルンメル Otto Lummer 1860–1925 ドイツの物理学者。関係:ベルリン大で熱放射と干渉分光学の講義を受けて博士論文の参考にした。

■ フリッツ・ハーバー Fritz Haber 1868-1934 ユダヤ人、化学兵器の父。関係:ベルリン大学の同僚。ハーバー追悼式典へナチスが反対する中で出席。

□ ヨハネス・シュタルク Johannes Stark 1874-1957 「ドイツ物理学」の立場。関係:ユダヤ人政策で考え方が反対。

■ マックス・アブラハム(1月8日) Max Abraham 1875-1922 関係:ゲオルク・アウグスト大学ゲッティンゲン時代に物理学を学ぶ。

□ ヘンリー・デール Henry Dale 1875-1968 イギリスの脳科学者。関係:WWII終戦後イングランドで抑留されていたラウエさんに講演を打診。

■ リーゼ・マイトナー Lise Meitner 1878-1968 ユダヤ人物理学者。関係:ベルリン大学でプランク先生の講義(1907)で知り合って以来の友人。水曜コロキウムの初回からの常連。

■ オットー・ハーン(1月1日) Otto Hahn 1879-1968 ドイツ人物理学者。

■ アルベルト・アインシュタイン(12月13日) Albert Einstein 1879-1955 関係:ベルリン大学で私講師をやっているとき(1906)に知り合い友達になる。カイザー・ヴィルヘルム物理学研究所で所長を引き継ぐ。

□ ヴァルター・マイスナー Walther Meissner 1882-1974 超伝導。関係:物理技術協会(PTR)でコンサルタントをしているとき知り合う。ラウエさんの伝記の執筆者。

■ ジェイムス・フランク(9月17日) James Franck 1882-1964 ユダヤ人物理学者。関係:ベルリン大学の同僚。

□ ピーター・デバイ Peter William Debye 1884-1966 カイザー・ヴィルヘルム物理学研究所所長。

■ ゲオルク・ド・ヘヴェシー(8月8日) George de Hevesy 1885-1966 ハンガリーの化学者。関係:ナチスから奪われないようにニールス・ボーア研究所が預かっていたラウエさんとフランクさんのノーベル賞の金メダルを王水に溶かして隠した。

□ パウル・エバルト Paul Ewald 1888-1985 X線回折法のパイオニア。関係:博士論文のテーマを聞いてヒントを得た(1912)、これが回折写真の「ラウエ法」に結実する。

■ ヴェルナー・ハイゼンベルク(12月19日) Werner Heisenberg 1901-1976 不確定性原理

□ サミュエル・ゴーズミット Samuel Goudsmit 1902-1978 ドイツ系アメリカ人物理学者。関係:WWIIが終わると核開発に関わったドイツの科学者を拘束するためラウエさんの自宅を訪れてイングランドに連行、抑留。

□ ハインツ・ロンドン Heinz London 1907-1970 フリッツ・ロンドンさんの弟。関係:低温物理学が専門。関係:ラウエさん、フリッツさんと三人で超伝導の論文を共同執筆した。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%82%A8
https://en.wikipedia.org/wiki/Max_von_Laue